2010年2月3（水）～5（金）
鹿児島ツアー
人生最後は楽しいことしか思い出さない。認知症でも楽しい思い出はちゃんと覚えている。そしてそれは誰も作ってくれない。自分で作るしかない。楽しい人生とは楽しいことをいっぱいやった人のこと。
私はがん患者さんたちとモンブラントレッキング、日米合同二百名のがん患者富士登山、そして末期ガンから生還した百名がその体験を千名に語る第1回千百人集会（2003年に開催、次回は2010年6月3－4日詳細はお知らせのページ）に参加して今日は人の身、明日はわが身を実感して前述のような人生観を得ました。
モンブラントレッキング がん患者富士登山
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80歳まで生きるとして日にちで計算すると28200日、先日63歳になったのでもう23000日がありません。残りは5200日、そのうち３分の１は寝ています。それをさしひくと3500日しかないのです。
最後は楽しいことしか思い出さないのです。だったら自分で楽しい思い出をたくさん持ってこの世にさよならするしかないと思いませんか。それも思うように歩けて、美味しいものを美味しいと感じ、きれいなものをきれいと素直に感動する心を持ち続けること、それは意識して元気なうちに五感がフルに喜ぶ生き方をしなければなりません。人生の後半は前半よりもからだや五感はきっと衰えてる可能性があるからです。
そんな思いで2000年の夏から毎年、モンゴル国を訪問してます。ゴールデンウィーク明けには気のあった仲間10名くらいと富山県の雪の立山で温泉三昧の2泊3日の旅がもう6年くらいかな、そして2年前には私のルーツ、鹿児島県の奄美大島を2回にわけて訪ねる旅をやりました。その延長で、大阪で毎月第2水曜の夜、もう15年も続けている童謡・唱歌の会の方々を中心に私の故郷を紹介する旅を今回、企画しました。
私の知ってる鹿児島の穴場などを友人の旅行社（奄美エーストラベル）にお願いして作ってもらいました。その中にはサプライズとして、私の父（93歳）にも話しをしてもらうというプランもいれました。私の父がモデルになった映画『北辰斜めにさすところ』を全員が見ていて、当時のナンバースクール（五校と七校の野球試合などを描き、主演は三國連太郎さん）の教育などの話しもしてもらおうと思ったからです。
また鹿児島には食い倒れの町、大阪にはない美味いものがいっぱいあります。さつまあげ、かるかん、桜島の小みかん、そしていま話題のまさにスイーツといえるほど美味しい安納（あんのう）芋など。
活火山の桜島、そして知覧特攻隊の遺品を集めた平和会館があります。それから私の生まれた指宿（いぶすき）では砂蒸しという温泉が体験できます。
昨年の夏、NHKテレビの大河ドラマ『篤姫』のゆかりのものがたくさんあります。2011年3月には九州新幹線が開通し、新大阪の駅にも鹿児島キャンペーンの写真が出ています。
そんなものをおりまぜて2泊3日のプランを組みました。記念にビデオを撮ったら7時間半、写真は500枚にもなりました。その一端を紹介するレポートです。
2月3日（水）初日は伊丹から鹿児島に飛んで知覧特攻平和会館を見学、そしてお昼は薩摩富士が正面に見えるところにあるいせえび荘で昼食、そして指宿（いぶすき）の薩摩伝承館を見学して泊まりは白水館。ここでは砂蒸し体験。
2月4日（木）宿から30分のところにあるフラワーパークでお花見。そして長崎鼻。お昼は奄美の里で鶏飯（けいはん）、そして船で桜島にわたり中腹の３７３ｍ湯之平展望台や林芙美子の文学碑を見て再び鹿児島市へもどり城山観光ホテルへ。
2月5日（金） 3日目は朝、薩摩義士をまつる大中寺や平田公園へ行き、鹿児島名物、じゃんぼ（両棒）餅をいただいて磯庭園、尚古集成館を見学してお昼は黒ブタしゃぶしゃぶの『いちに、さん』。
そして鹿児島空港の前にあるバレル・バレー・プラハというチェコ観光局をやってるところ、その隣にあるのが錦灘酒造という焼酎工場見学、そしてボヘミアングラスなども販売してます。そしてその敷地の中に知覧と同じく、ここ十三塚原（じゅうさんつかばる）からも二百十数名の特攻隊員たちが飛び立ち帰還しなかったのです。空港前にあるのに意外と知られていません。ぜひ鹿児島空港に行ったら寄ってみてください。
道路をはさんでまん前ですから。そしてかるかん、まぐろラーメン、さつまあげなどのお土産を手に大阪・伊丹へ18時半着というコースです。
2月3日（水）朝7時、出発の1時間前です。
奄美エーストラベルの尼崎支店の方がチケットを持って待っててくれました。今回総勢18名、女性12人、男性6人、ご夫婦が一組、遠くは横浜から先月定年で自由の身になれたという男性も参加されました。年齢は39歳から74歳まで。大半はいつも大阪でやってる童謡・唱歌の会の方々でモンゴルにご一緒した人が6人、雪の立山ツアーに参加した人が8人、日本笑い学会会員が3人など私がやってるいろんな会に参加している方々に声をかけて、この指とまれで来られました。
私はいらっしゃいとは決して言いません。例えば山に行こうと誘ってたまたま、悪天候で大変なことになっても、自分で行くと決めてきた人は文句を言わないのです。でも誘われてきた人は大変な思いをしたときには人のせいにすることがしばしばあります。
チャンス、平等でも結果は不平等というのが人生ということを絶えず言ってます。だから常連でも都合が悪くて来れなくてももちろん、とがめませんし、じゃあまたねと言って次のプランの話しをしています。
今回もそうですが、私が毎回、ビデオで映像を残し後々まで楽しめるようにしています。
朝から晴天、おかげさまで私の旅はまず雨にあいません。今回もいい天気で予定通りJALで8時に出発です。昨年から参加者名簿を各人に配り、年齢、性別、住所、血液型など話しのきっかけが作りやすいように、私との関係、旅への思いをメールで集めて表にして配布しているのです。
そしてそれには自分の自慢の写真を送ってもらい添付してますから、ますます初対面のような気がしないというようになってるので、全く初めての人も旅の終わりにはファミースピリット、家族のような気分でひとつになるのです。
また笑い学会の会員のひとりは、じつに面白いジョークをときどきメールで配信してくれます。それを参加者に転送して共有してもらい、初対面とは思えない間柄を作ってます。
彼が送ってくれた小噺のひとつを紹介しましょう。
『二人乗りのスキーリフトに乗り合わせたのは大男。お互いに無言だったが、山頂に向かう途中で親しげに肩を組んできて、スキーは十年ぶりなんですよ。どうしてですか？刑務所にいたんです。・・・。訳を知りたいですか？ いや別に。まあそう言わずに聞いてください。・・・？ 十年前見ず知らずの人を観覧車から突き落としたんですよ。！？X 』前もってそんな資料を一月以上前から共有してると、初対面でも親しさが生まれます。
これがファミリースピリットです。ちょうど鹿児島から、いま日本中で注目されている『安納芋』（鹿児島県種子島のお芋だったのですが、おいしさ最高ということで、いま鹿児島県内の焼き芋はほとんどコレ！まるでスイーツです）をふかして出発前にみんなに配りました。前日にその情報を流してたので、お芋を楽しみに朝食を抜いてきた人も！
チケットをもらって一緒におイモも手にしてみなさん、ご機嫌、機上の人になりました。
1時間ちょっとで鹿児島空港。北に懐かしい霧島連山。私たちは小学6年のときの修学旅行で登ったところです。空港にはこんな看板も
奄美エーストラベルのO君とバスガイドさんが我々を出迎えてくれて20人乗りのミニバスで9：50分、知覧特攻平和会館へ向けて出発。ちょうど家内が私と入れ替わりで鹿児島空港にいたので、差し入れを頼みました。
桜島小みかんとさつま揚げを食べながら、1時間15分ほどで知覧の有名な武家屋敷が見えてきました。
特攻隊員たちから『おかあさん』と慕われた鳥浜トメさんがやっていた富屋食堂の前を通りました。
平成4年に89歳で亡くなった鳥浜トメさんは知覧町の名誉町民で、毎年5月2日の慰霊祭ではこのときのことを語り継いでいました。隊員たちが僕たちの残りの命をおばちゃんにあげる、そういい残して飛び立っていった若者たち、そのおかげで長生きした。だから彼らのことを今の人に伝えるのが私の役目といって、記念館の中にはそのビデオも上映されています。そして薩摩半島の知覧の陸軍特攻基地から1036名、大隈半島の海軍特攻基地、鹿屋（かのや）からは900名、それ以外にも加世田の万世飛行場や3日目の金曜日に訪れる十三塚原基地からも217名余りが飛び立ったのです。
彼らのおかげで戦後の平和な日本があることを忘れてはならないし、原爆資料館と同じく、日本の十代の若者はこのふたつは本当の歴史教育として見てほしいところだと思います。
その平和会館のある公園に11時10分到着。バスの中では資料をコピーして配布しました。特攻隊員たちは基本的に未婚の若者たちです。その中で自ら志願し、散っていった妻帯者もいたのです。そのひとり、藤井少佐の物語『一足お先に逝って待ってます』という実話です。（掲載ページはこちら→）館内は撮影禁止ですのでパンフレットの写真を紹介します。
2年前には現代の若者にもこの史実を伝えようと映画『俺は君のためにこそ、死ににいく』が話題になり、そのDVDが館内で市販されていました。
平和会館のそばには三角兵舎がそのまま残されています。
また隊員のりりしい立像、鳥浜トメさんの像や戦闘機も屋外に展示されていました。
知覧はお茶の名産地、静岡のお茶にもかなりブレンドされています。それでこんなオブジェもありました。ここでも地元の友人から安納芋の差し入れがありました。
知覧で涙を流した後、さらに南へ。
特攻隊員たちが日本にさよならしたときのシンボル、薩摩富士とよばれる開門岳かいもんだけ（923ｍ）が身近に見えてきました。小学生の頃から何度となく登った、見晴らし最高のいい山です。
指宿から枕崎まで薩摩半島の南端を走るJR枕崎線の水成川で下車、歩いて10分というかなり辺鄙なところにいせえびフルコースを安くて食べることのできる２軒のお宿があります。ここなどは地元でないと知らない穴場です。
夏だったらこの近くの唐船峡というそうめん流し発祥の地とここを組み合わせるのですが、寒い季節だからいせえび荘だけにしました。知覧から50分、午後1時10分に到着。さっそくイセエビのステーキ、温かいせいろ蒸しなどみな大満足。
外に出るとなんと江戸時代に日本地図を作った伊能忠敬先生の『けだし天下の絶景なり』と書いた石碑がありました。300年前と余りこの光景は変わってないと思います。
開門岳を背景にひとりずつ、明るい遺影を撮りました。
14時20分に出発して指宿へ。ここはエデンの園にいたアダムが恋人、イブに愛の告白をしたところなんですよ。知ってましたか？『イブ好き！』
そんなジョークをいいながら15時過ぎには今夜の宿、白水館へ到着。
この隣に2年前にできたのが薩摩伝承館、これが見ごたえがあるすごいものです。建物は宇治の平等院を模して作り、そこには欧米に流出した薩摩焼きを買い戻したりして集めた数多くの作品が並んでます。それはそれは見事です。
1時間余り見学して17時から待望の砂蒸し体験。そして専属のカメラマンが記念写真を撮ってくれました。
午後7時から大広間で薩摩料理の数々をいただきながらの自己紹介。
そして今日は節分、店の計らいで豆まきも。
2次会は私たちの部屋に集まって不思議グッズを見せてくれる人、
それからアンチエイジングにはもってこいの『折りバラ』、なんと８３行程あり、途中４つほど挫折のところがあるとか。インターネットでこの折りバラで検索できますが、途中から3次元の立体になるのでわからなくなるのです。
岡山の大学の教授が考案したとかで、これに添える葉っぱもあります。これはすごいですよ。そして童謡の会ですから私のアコーデオン伴奏で心行くまで懐かしい歌を歌ってお開きにしました。
4（木）朝6時には起きだしてとりあえず朝風呂、廊下をいくと江戸時代の最後、慶応年間から明治時代にかけて薩摩の若者たちがたくさん海外に禁を犯して留学し、欧米の文明をたくさん持ち帰って新生日本を作ってるのです。
それがここにくるとよくわかる。鹿児島生まれの我々でも知らないことがたくさんあります。
北海道の札幌ビールを作った人、日本銀行設立したのが松方正義、東京美術学校にもそうそうたる方々がいたのですね。
それを読むうちに時間がなくなりあわててお風呂に。外には南国の花、ブーゲンビリアがいっぱい、そして大好きな菜の花、そして寒緋桜が咲いてます。
ここの元禄風呂というのがすばらしい。
朝食すんで9時10分に再びバスでまずはフラワーパークへ。30分余りで到着。ここは2年前に亡くなった母もよく訪ねた懐かしいところです。
昨日見た薩摩富士がここからきれいに見えます。
そしてちょうちょの館、手のひらに止まってくれました。
時間の関係でお花見の桜をメインに残り半分は次回にということで
ここから5分、11時過ぎに名勝、長崎鼻です。ちょうど昨日見た、いせえび荘からは反対側になります。こちらの山川町でも町営で、海岸の砂蒸しができ、それも右手に開門岳を見ながら波の音を聞きつつ、最高の癒しの時間です。
この長崎鼻からは平家物語に出てくる俊寛が流刑となった硫黄島を見ることができる場所でもあるんです。
ここから一路、鹿児島へ。錦江湾にそってバスは走ります。
桜島の形がどんどん変わって面白く、今泉は一昨年のNHKテレビドラマ『篤姫』の出身地、そして喜入（きいれ）には日本石油の基地があり、我が母校、ラ・サール高校のそばを通って今日の昼食は奄美の里以前、訪ねた私のルーツ、奄美大島で食べた郷土料理、鶏飯（けいはん）です。
ササミや金糸卵、細かく切った山川漬けやみかんの皮、ネギなどをお皿）にもり、鶏がらを煮出したダシを用意してどんぶりにご飯、それからさきほどのお皿の上の具を載せてダシをかけるという実にシンプルなもの。昭和天皇が奄美大島を訪問したときにもお出ししたという奄美名物です。お茶漬けみたいな感じですからサラサラと食べられます。
この店の前には篤姫の看板もあり、それぞれ顔をいれて記念写真を撮ってました。お店の前には世界一大きい桜島大根を展示していました。
そして市内にはいり父が作り、私の兄が今、あとを継いでくれてる「のぼり病院」の前を通り桜島桟橋へ。いいタイミングで車ごとフェリーへ。このシャトル汽船は15分毎に24時間運航して15分で桜島へいけるのです。
数年前、鹿児島出身の歌手、長渕剛くんが桜島でリサイタルを開いたとき、なんと7万人のファンが桜島に押しかけこの船が連日、人であふれたということでした。
この船には有名なうどん屋さんがあります。さすがに昼食後ですから今は、見るだけ。帰りに食べようと甲板に上がりました。後ろには今日の宿、城山観光ホテル、そして雄大な桜島がぐんぐん近づいてきます。
車にもどりバスに乗ったまま船からおりて早速、373mの桜島の中腹にある湯之平展望台へ。ここまで来ますと桜島の溶岩、ゴツゴツした岩肌が目の前に広がりすごいですよ
。昨年は史上最高の爆発回数、一年間に577回という記録でしたが今年はもう100回を超えきっと昨年より多いかもという話しをしていました。
その桜島をバックにまた明るい遺影を撮りました。使わなかったら来年の年賀状に使えばいいよとアドバイスをして
バスに乗って下山して5分後、ガイドさんが『みなさん、後ろを見て』年甲斐もなく（自称23歳のおばさんですが）、絹？いや雑巾をさくような突拍子も無い声で叫ぶのです。
桜島が目の前で爆発したのです。運転手さんにバスを止めてと急停車。全員外に出ました。全員退避というわけではありません。写真撮りです。ミーハーもいいとこです。風は向こうに吹いていますからこちらに灰や火山弾が降ってくる心配はありません。向こう側には気の毒ですが・・。
そしてみんなが感嘆の声を上げながらシャッターを切りまくり、挙句の果てはこのように噴煙を上げる桜島をバックに記念写真です。私もガイドも桜島で爆発に遭った体験はありません。とっても貴重でした。最近は爆発前に音がしないことが多く、おならと同じで音のしないのはたちが悪い。
興奮さめやらぬまま、今度は大正3年の大爆発で溶岩に埋まった有村地区の前を通り、古里という温泉へ。ここが森光子さんが2000回も演じているお芝居『放浪記』を書いた林芙美子の文学碑のあるところです。ここには噴火の度にたまった火山灰が一杯で、その石碑の上にも積もってました。洗っても洗っても、後から後から爆発してたまるから掃除する人はたまらんのです。
写真を撮ってまたフェリーに乗船。感動で胸は一杯ですが、お腹はすくのです。あの『やぶ金うどん』の店の前に並びました。やっぱり美味しかったです。
甲板で桜島の噴煙を見ながらあの灰の降ってる地域の人は大変だろうなと一瞬だけ思って桜島桟橋に着きました。そして鹿児島城址、もと七高（第七高等学校造士館あと）のお堀のそばを通って城山を登ります。途中、西郷隆盛南州翁が自刃された岩先谷の洞窟あとをとおり城山観光ホテルへ4時半に到着。私は市内の父を迎えに行きました。
6時15分から城山観光ホテルの中にある滝の茶屋というお店の個室で夕食前に93歳の父の話をみなさんに聞いてもらうことにしました。なんとも我が父が息子の前で息子の小さいときのエピソードを語るなんて、穴を掘って入りたいような気分で部屋の隅で小さくなってました。
帰阪してから参加したメンバーのひとりが、そのときのことを句にして送ってくれました。
『父の前
子どもにかえる
白いひげ』
そして亡くなった母が亡くなる前に綴った『遠い昔の日に思う』という遺稿があったのでそれをコピーしてみなさんに読んでいただきました。
また全員が、映画『北辰斜めにさすところ』を見てますのでその前後のエピソードを問われるままにこの映画のモデルになった経緯や三國連太郎さんのこと、脚本家のこと、エキストラであの映画に出演したこと、軍隊時代の思い出などを話してくれました。
そして昨年秋に半世紀ぶりに鹿児島にもできた馬事公苑で乗馬をしたときのエピソードも嬉しそうに話してました。初めは見るだけのつもりで行ったのが、いつか昔を思い出してちょっと乗りたくなった。
でも万一怪我でもしたら93歳にもなって分別もないなどと言われそうと躊躇していたけど、でもやっぱりここまで来たらちょっと乗りたいという気分になってとうとう乗ったら久しぶりに軍医時代に馬と行軍した気分を思い出したようでした。これがそのときの写真です。
そして終わりに私のアコーデオン伴奏で七高寮歌『北辰斜めにさすところ』・や三高の『紅燃ゆる岡の花』などを皆で合唱しました。
気がついたらナンと10時でした。みんなで父を中心に記念写真を撮って散会しました。私だけ父と一緒に自宅に泊まりました。
2月５（金）今日もいい天気、ホテルから見た日の出です。朝食会場からは桜島が目前、写真のように露天風呂「さつまの湯」からは雄大な桜島がこのように見えるのがこのホテルの目玉でもあるのです。
9時にバスで城山を降りると市内観光の最初は薩摩義士の菩提所、大中寺です。
今をさること260年前に江戸幕府から岐阜県の木曾、長柄、揖斐川という大河の治水工事という難題を押し付けられ、千人近い薩摩武士が刀をクワに持ち替えて木曾三川の土木工事にあたったのです。幕府の仕打ちに腹を立て切腹した者、病死した者をあわせると80名余りが再び薩摩の地を踏むことはできなかったのです。
岐阜の方々は今でも宝暦年間の治水工事のことを後世に伝えようと大祭を春と秋に行い、また宮本武蔵の著者、吉川英治のただひとりの女性の弟子、杉本苑子さんはこの話しを題材にした小説『孤愁の岸』で直木賞を取りました。それをお芝居にして全国を演じてこの話しを広めたのが、故森繁久弥さんでした。以前、岐阜県で講演したとき出身地そ聞かれ、鹿児島と答えると『薩摩さまですか』といわれて感動したのを鮮明に覚えています。
今でもこれほどまでに岐阜の方々は我々、薩摩には足を向けては寝られないというのです。岐阜の小学生の課題図書にこの話しを書いた『千本松原』があり、劇を定期的にやってるので岐阜の方々、三重県でも桑名の方々はよく知ってます
。ところがこの事実を薩摩の方からみるとどうなるでしょう。
初めは幕府と一戦交えるという強硬派もいたのですが家老、平田靭負（ゆきえ）の『これは形を変えた戦さである。美濃の農民が苦しんでいるのを同じ日本人のひとりとして見過ごすことはできぬ』という一言でみな、平田家老に従いました。でも予算をはるかに超える出費となり藩の財政を危うくしたということで薩摩藩では評価が低く、長いこと祀られることはありませんでした。
平田靭負家老は幕府の検分を受けたあと、堤に植えた千本松原で割腹して果てました。
明治時代、オランダのデレーケ土木技師はこの宝暦の治水工事を見て今から150年前にこれだけの工事を成し遂げたのは驚異的と賞賛しているほどすばらしい工事なのです。そのエピソードを鹿児島の子どもたちはあまり知りません。とても恥ずかしいことです。
1月に講演で呼ばれた関西鹿児島県人会の方々にもその話しを漫画にした『薩摩義士伝』を配布して広げてほしいと訴えました。
漫画ですが涙なしでは読めない漫画ははじめてでした。吹田市には平田家老の末裔、九代目の方がおられこの本をたくさん差し上げました。どこにもすばらしい先人たちがおられます。そんな郷土史をもっと伝えることをしたらいいですね。関心のある方は美健ガイド社（FAX：03-5825-6265に申し込んでください。500円＋税）
この大中寺から歩いてすぐのところに平田靭負屋敷のあった平田公園があります。昨日、泊まった城山観光ホテルのすぐ下にあります。ここにその像があり宝暦の治水のことが書いてあるのですが、学校で全く教えないというのはとても残念なことです。
ここから再びバスに乗って西郷さんの銅像の前を通り、磯庭園へ。
途中下車して鹿児島名物、じゃんぼ（両棒）餅の平田屋に寄りました。中国語で２のことをリャンといいますね。それが由来ということのようです。磯庭園の前の海水浴場で泳いだ後は、ここでじゃんぼ餅を食べる、これが我々子ども時代の最高の楽しみで、懐かしい味でした。
窓の外を見ると、また桜島は爆発、一日に3回くらいやってます。
お腹一杯になったところで磯庭園、今では仙巌園というらしいですがそこを見学しました。
ここがテレビ『篤姫』のロケ地で、あちこちにその様子を書いた案内が出ていました。
園内は梅、そして寒緋桜があちこちに咲いてました。
そしてこのお土産はぎんなんの実を使った作品です。
そしてあの安納芋を使ったきんつば、これがまた美味しい。みんなに紹介してたら添乗員と間違えられて一箱もらいました。
お昼は甲突川のそばにある黒ブタしゃぶしゃぶのお店『いちに、さん』を予約してありました。ここは西宮ガーデンや銀座、札幌にも支店があるのでお近くの方はいってみてください。おすすめです。
すっかりお腹いっぱいになったところで、さつま揚げのおいしいところ『まつむら屋』（℡・FAX 099-206-6639）、店のドアにはこんな張り紙が。
ここのは防腐剤が入ってないので長持ちはしません。でも味はなかなか、おすすめです。小さな店ですからいろんなさつま揚げを選り取り見取り、好きなように詰め合わせてくれます。
待ってるあいだに数名が近くの私の父がはじめた『のぼり病院』に赤ちゃんを見に行きました。
そして高速に乗って鹿児島空港まで45分。空港の前にあるのがチェコ観光局（バレルバレー・プラハ）。ここの焼酎工場を見学しました。
案内人は薩摩示現（じげん）流の有段者でその練習風景も見せてもらいました。
ここの初代は焼酎に欠かせない黒麹、河内菌の発見者でここから日本中の焼酎工場に種麹を送っているのです。
その一代記が前述の『薩摩義士伝』を出した美健ガイド社から出ています。ここにはユニークなものがたくさん売ってます。
焼酎カステラ、そして前立腺に不安のある人におすすめなのが『前立腺の友』、
でも女性はこの名前では買いにくいというのでできたのが『麹の華』、はいっているアルコール成分が0.5％と少ないだけで成分は同じです。これで前立腺のトラブルなどかなりよくなった実例がかなりたくさんあります。おすすめです。
今回参加したメンバーのひとり、ある奥さんはこれまでご主人に何もお土産を買ったことがなかったそうですが、今回、ピンとくるものがあったのでしょう。これをお土産にしたとか
。そしてここのオーナー山元正博くん、二代目は私の高校の後輩ですが、20代から強くなりたいと極真空手をはじめ九州大会でチャンピオンになったすごい男です。世界で一番おいしいといわれるチェコのビールを日本でも作れないかと考え、ボヘミアから女性の杜氏を3人呼んで、日本で7番目の地ビール工場を作ったのです。
チェコビールはここがもちろんはじめてですね。それからこのバレルバレー・プラハの敷地内には、鹿児島空港の元になった特攻基地、十三塚原（じゅうさんつかばる）の跡地なのでここから飛び立った特攻隊員たち217名あまりをお祀りした石碑を自分で作り、毎年ここで慰霊祭をしています。知る人ぞ知るというところです。そんな薩摩隼人らしい男で、自慢の後輩です。
クリックすると拡大してご覧いただけます。
時間もなくなりボヘミアングラスをさっと見てチェコビールを買ってバスの中で飲みながら空港へ。ここは目と鼻の先なので5分もあれば空港です。
ここで重たいかるかん、これは明石屋がいちばんです。それからマグロラーメンという串木野名物のユニークなものが1階の売店にあります。
まるでグルメ旅行みたいになりましたが、郷土史を学び、砂蒸し体験、篤姫の史跡めぐり、桜島での爆発を目の前で見るなどいろんな非日常体験のできた3日間でした。
1年後は北海道、道東の帯広、釧路で雪原のタンチョウ鶴の舞、十勝のモール温泉、釧路の和商市場の勝手丼などを体験するツアーを企画という話しをしたら十人以上が即、手をあげました。よっぽど気に入ってくれた旅になったのでしょう。
