スマイルのぼり－旅日記モンゴル2008

　旅日記タイトル

2008年　8回目のモンゴルツアー
2008年8月17日（日）～24日（日）

今年もまた恒例の夏の里帰り、10人で行って来ました。
女性が７人、こんなすばらしいところがあるよと紹介すると、男は行きたいけどねと口では言うけどそれから行かない言い訳をたくさん並べます。ドタキャンするのも男性！それに比べると子育て終わった女性は飛んでますね。

行きますと即、宣言してそれからもう段取りを考え始めます。英語では女性は従来、ミス、ミセスと区別していましたが今ではミズといって既婚、未婚を区別しない言い方になりました。そういう言い方でいいますと現代の日本の女性はむこうミズかもしれません。

毎年訪れる国立孤児院、別れ際に『またくるね』と日本人は気楽にいうでしょう。純朴な子どもたちはホントニ待ってくれてるんです。

昨年に続いて2回目の方は昨年出会った子どものひとりと再会しました。向こうのほうからおばちゃんの腕の中に飛び込んできました。抱っこしてもらって大ニコニコです。
孤児というのは親に抱かれた体験が無い、そういうことなんですね。抱かれる子どもはよく育つといますが、言葉が通じなくても皮膚は心、肌のぬくもりが言葉以上にお互いの気持ちを通い合わせることができるということがよくわかりました。

今回のツアーの新しい目玉は、熱気球で大草原の上空をフライトする体験でした。これはほんとにすばらしい。草原を馬で駆けるのとはまた違う、すばらしい体験でした。
でも高さ1000ｍから見下ろすと草原の砂漠化がよくわかります。

そして今年まで建国800年記念イベントとしての騎馬隊ショーをまじかにみることができました。

大草原の夜、キャンプファイヤーで久しぶりに若いときのあの追体験をしました。
遊牧民の方々はひとりが歌うとみんな一緒に歌います。暗いから歌詞カードはありません。昔の日本はそうでした。
ところが今の日本人はダメです。カラオケの悪い習慣でしょうね、全く覚えてないのです。歌詞カードが無いと歌えない、これも認知症一歩手前ですね。そんなことも感じました。

そんな体験を交えながら８回目のモンゴル紀行を書いていきたいと思います。

８月17日（日）関西空港13：40発、韓国のソウル国際空港（仁川）経由でモンゴル、その総人口265万のうちの100万といわれるメトロポリス、ウランバートルのジンギスカン空港着は夜中の12時でした。
時差が1時間ありますので時計の針を1時間もどしました。そしていつものフラワーホテルへ直行

　1 8（月）朝のホテルの前にはコスモス、ここは秋です。
ウランバートルは緯度は樺太（サハリン）と同じ、そして標高1350ｍと高地です。
7―８月は火曜、金曜には関空からわずか4時間の直行便があるのですが、今回は日曜出発でしたのでソウル経由になりました。

フラワーホテルの朝食はいつものパターンの乳製品が主です。

今日の予定は午前中はいつもの国立孤児院のサマーキャンプへ。

モンゴルの学校は９月始まりで５月まで。ですから６月から８月までの３ヶ月が夏休みです。ここには毎年10年も通っていますので先方も楽しみにしてくれてます。バスが到着するとお迎えにきてくれました。

そして教室内であの舞台衣装をつけた子どもたちが雑技団のようなこと、歌やお遊戯などを披露してくれました。

このあとは屋外で一緒に遊びました。

ここの院長先生の名前はオモロイ名前、トンガラクーといいます。
ロシア系の美人です。

孤児というのはどういうことかといいますとこの写真のようにのように我々がいくと腕の中に飛び込んできておんぶ、抱っこしてほしいのです。

百名の超える孤児に対して10数名の先生しかいません。だからみんな平等ということでは誰も抱かないのです。
でも子どもは抱いてもらって自分が大事にされてることを肌で確かめたいのです。だから抱っこしたら離れません。
僕も、私もといっぱい来ます。この写真の子は昨年、ここのサマーキャンプをこのおばちゃんが訪問して抱いてくれたことをちゃんと覚えていて目と目とがあった瞬間、お互いにハグ、ハグです。育てるという字ははぐくむとも読みますね。これは英語のハグ、抱くということと同じだと思いました。
このあとダンボールにいれたたくさんのプレゼント、百円均一の品や着古した衣類、使わないタオル、おもちゃなどをあげて一緒に遊び歌も歌って名残惜しいけど2時間余りで再びバスに乗って1時間ほどでウランバートルの街中へ

お昼はソウルレストランです。
その前にあったのがこの横断幕、これはソウルオリンピックで柔道100ｋｇ級で日本の鈴木選手を破ったのがモンゴルの選手でそれを書いてあるのです。

この金メダルで、うわさによると日本では朝青龍と白凰が一緒に祝杯をあげたとか、地元モンゴルでは与党と野党が一緒になって3日間飲めや歌えの大騒ぎだったとか。日本人向けの『モンゴル通信』では金メダルを取った選手は日本円で2000万円の賞金（実際には２億円の価値）、生涯、携帯使い放題、金５ｋｇプレゼント、3部屋ついたマンションのプレゼントなど国民栄誉賞もという報道でした。

お昼は韓国冷麺を食べてたら窓の外に見えたのがたまにしか通らないシベリア鉄道の列車で実に長い列でした。

食後、一路、テレルジ国立公園へ。途中スーパーマーケットで買出しです。
ガイドにスリに注意してと言われましたが大丈夫でした。

相撲が大人気ですからお酒のラベルまで日本の横綱の写真です。

草原の中をマイクロバスで1時間あまり、この公園内のツェベグマツーリストキャンプに着いたのが夕方4時20分。でも日没は8時半ですから夕方といってもまだ昼日なかです。

ちょっとお茶しましょうということでいただいたのが揚げたドーナッツのようなものとブルーベリージャム、おいしかったですよ。

そこへ自分の絵を買ってほしいという少年が来ました。見事でしょう。

そして草に寝転びお昼寝です。

6時半からもり・けんさんが1時間ほどどうして13年も、そして35回もモンゴル通いをしているかという思いを話しました。

夕食は８時からでした。ここのテレルジ国立公園内には140ほどのツーリストキャンプがありますが、ツェベグマキャンプは故司馬遼太郎さんん通訳ガイドをした故ツェベグマさんがプライベートに作ったもので親しい友人だけを泊めるところです。
もり・けんさんとは家族ぐるみのお付き合いで毎年、里帰りのように訪ねて泊めてもらっています。

そんなことで娘さんのイミナさんご夫婦とも親しく、イミナさんはモスクワ大学を主席で卒業して今でもコンピューター関係の大学教授、ご主人のバートル・ツォクトさんはもと文化副大臣で国立民族歌舞団の音楽総裁でもあります。
おふたりとも日本人と変わらない、親しみの持てるいい顔をしてらっしゃるでしょう。

でもそのおかげでモンゴル一の馬頭琴奏者が我々のために公演を終えた後、1時間かけてウランバートルからこのテレルジキャンプに来てくださいました。その首席奏者バットサイハンという方と弟子のジャヴハラントゥグスさんのナマ演奏を1時間ほど聞くことができました。
もり・けんさんのハーモニカとのコラボという企画もあってモンゴルの楽しい第二夜はすぎていきました。

こんな方々とじかに接することができるのが我々のツアーの強み、単なる観光旅行ではありません。その演奏はさすがに心にしみるものでした。

外に出ると満天星、でも写真では写せない、地平線まで星がいっぱいでした。振り返ると午前中は孤児院訪問、テレルジでもり・けんさんの講演、そして馬頭琴の夕べと非日常の連続でした。
夜中に雷が鳴り珍しく雨がふりました。年間降水量が日本の10分の１のモンゴルの方にとっては大喜びです。

19（火）明け方、ゲルという簡易テントの中のストーブに火をおこしにきてくれます。
昼間は25度くらいですが夜は10度と寒暖の差が激しいのがこの盆地の特徴です。朝はもう雨も上がり日がさして外にでるとこんなに影が長いのです。

8時からの朝食はヤギのお乳、ヨーグルト、ズッキーニのてんぷらにパンとブルーベリージャムです。

10時半に近くの遊牧民のゲルを訪問しました。毎年、いくので里帰りの感じです。
さっそく乳製品でのおもてなし、そしてモンゴルでは珍しい一人っ子です。

この坊や、ツゥムル・バートルくんがおむつをつけた頃からもり・けんさんは知っていてプレゼントにもらった、もり・けんと名づけられたヤクもいます。
ご両親の顔も我々と同じでしょう。一緒になってハーモニカにあわせて歌ったり、指遊びしたりしました。

午後からは国立公園内の名所、亀岩へ、まわりにはこんな花も、

そしてあちこちに草を食む羊やヤギの群れです。
キャンプの近くには水晶鉱山の後があり、いつものように水晶拾いです。欲の塊がもろに出ていっぱい拾って、さあ帰ろうというときには重くて重くて結局、大きいものは捨てて持てるだけにしました。
皆さんの欲の深さがよくわかりました。

そして夕方にはヤギや羊が放牧から帰ってきます。そして乳搾り、それからヤクにも乗せてもらいました。

そして夕食の時間は肉マン（ホルホック）が出ました。デザートはスーパーで買ってきたスイカでした。
夕食後、笑いと健康について吉本風の独演会をしました。夜中は珍しく大雨。

　２０（水）今朝はいつもより早い朝食をいただき、敷地内にあるツェベグマ記念館を見学しました。故司馬遼太郎さんと一緒に写真や1999年に文化勲章をもらって２度目の来日された新聞記事が飾ってありました。

２泊したツェベグマキャンプに別れを告げ、９時半に私設孤児院、テムジンの友塾に着きました。
ここは島根出身の88才になられる春日行雄先生が私財を投げ打って故ツェベグマさんとの約束で作られました。あいにく、ひと回りうえのお兄さんの具合が悪く急遽、日本に帰られていましたが横浜の自宅にいるところ、ＴＥＬで連絡がとれこの土曜、我々が帰国する日の夕食会に間に合うようにウランバートルに到着ということでした。
留守を守っているモンゴル人のフーフさんの案内で孤児３人がモシモシカメよの歌にあわせてケン玉を披露してくれました。
春日先生の執務室にはモンゴルに関する資料、写真、地図などが一杯です。

女の子ふたりは16歳と11才の姉妹で男の子は10才とのこと。プレゼントをあげた後は一緒に折り紙をしたりして遊びました。
お天気だったらここのシンボルとしての鯉のぼりがあるのですが、今日は雨だったのであげてありませんでした。

11時半においとまをして12時過ぎにウランバートル市内の風の旅行社支店で昼食。ここに夏の間だけ臨時で仕事をしている伊藤麻衣子さんという京都の方がモンゴルの長唄を歌ってくれました。

そして午後１時に今日の目的地、ここから200ｋｍ、６時間のウンドゥルシュレットに向けて出発しました。
市内でガソリンをいれましたがここでも原油高騰のあおりで１リットルが192円という状態でした。
雨模様だった空も大草原を走るうち青空になりこんな光景も。

車内でもりけんさんのハーモニカや私のアコーデオンの伴奏にあわせて歌を歌っているうちになんとか暗くなる前に到着しました。

ここのゲルの中のベットにはなんとタオルをこんなふうに折って我々に歓迎の意を示してくれました。

ここが食事をする場所でここにはモンゴルにまつわる子ども向けの絵本もおいてありました。

そしてこれが大草原に沈む夕日です。
時刻は午後７時55分でした。夜は満天星、お月さんがトゥーラ川に映ってきれいでした。

８月21日（木）快晴です。
今朝ははじめての熱気球フライト体験、大草原の上空千メートルの上を飛ぶのです。

その準備は朝6時半からはじまりました。というのは昼間は地熱のために上昇気流が起こりどこまで上がるかコントロールできなくなる恐れありとのこと。
気球ばトラックからおろされそれを広げてふたつの扇風機で風を入れて膨らまし、ある程度ふらましたところで火炎放射器のようなプロパンボンベを使ったバーナーで熱い空気を送り込みます。

そして12人乗りのカゴをつけて気球を起こしていくのです。
1回フライトは1万9千円で、最初からツアー代金にはいっています。誰でも高いなとおもうでしょう。でも体験してごらんなさい。決して高くない、すばらしい体験ができますよ。上からの写真をごらんください。

放牧してる羊の群れ、我々の宿泊してるツーリストゲル、そして母なる川の意味のトゥーラ川や砂漠化していく草原などがよくわかります。
1時間近いフライトで着地点までマイクロバスが追っかけてきてくれるんです。ナント20ｋｍも飛びました。
ツーリストゲルのあるところは1120ｍですから標高2000ｍくらいのところをフライトしたことになります。でも空気がうすい感じはありませんでした。
砂漠化は温暖化だけのせいではありません。モンゴルの名産品はカシミヤ、これはヤギの毛です。羊とちがってヤギは草を根っこから食べるのだそうです。カシミヤが売れるということでこれまで以上にヤギが増えてきているとのこと。それも砂漠化の促進要因だとか。終わって着地すると遊牧民たちが珍しがって来てくれました。

朝食のときにフライトした証明書をいただきました。

水のペットボトルにはkyokusyuの名前、そうです、あの旭鷲山が故国に帰り実業家になってこの6月には選挙で野党の代表としてトップ当選したのです。食堂にはここのウンドゥルシレットを訪問した紀行文などがたくさんあります。

また『青いナムジル』という絵本がありました。日本ではスーホーの白い馬が有名ですが、実はこれは中国の内モンゴルの話で書いた人はモンゴルに行った事はないそうです。ですから衣装も中国のイメージで描かれています。ところがこの『青いナムジル』はモンゴルでは誰でも知っています。羽を持った天馬に乗って恋人に会いに行った恋敵の女性がその羽をはさみで切ってしまったのです。それがもとで天馬は死んでしまいました。でも馬はナムジルに自分のことを思い出すように頭の形をした楽器を作って演奏するよう夢で告げたのです。それが馬頭琴の由来です。

午後からはトゥーラ川のゴムボートでの川下りです。楽しそうな様子をごらんください。

シャワー浴びてすっきりしたところで夕食前に今夜は通訳ガイドのYさんにその体験をお話してもらいました。
以前笑い学会でも発表されましたが、世界各国の自殺率とネアカ度は見事に比例するということです。またご自分のメキシコ留学でのカルチャーショックの話など実に豊富なネタをお持ちでした。

たくさん笑ってさあ夕食です。ビーフシチューとご飯でした。

夜9時すぎると、外は9度、満天の星、夜の10時からは遊牧の方々と馬乳酒を回し飲みしながらキャンプファイヤーでした。モンゴルの人は誰かが歌うと一緒にみんなが歌います。真っ暗だから歌詞カードはありません。
日本人は今や歌集が無いと歌えないという状況にあることがわかりました。これもカラオケの弊害ですね。歌詞がでるから覚えようとしないのだと思いました。もりけんさんのハーモニカと私のアコーデオンでモンゴルや日本の歌をたくさん歌いました。久しぶりに青春時代にかえった気がして楽しいひとときでした。